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5つの質問

1.なぜ?“輪っか”ではない指輪を作ろうと思ったのですか?

指輪が輪であるという常識から自由にならないといけないと思ったからです。指輪は、昔から輪の上部中央に装飾部があるものが、ほとんどですので、2000年を迎えるミレニアムをきっかけに、“指輪をデザインする”のではなく、“指につくものをデザインする”ことを発想の原点にしました。そして、出来上がったのが、まるでダイヤモンドを指の間に挟んでいるような指輪です。面白いことに、装飾部が指と指の間にあるため、指輪が回ってしまうような違和感もなく、また有機的なフォルムは指に吸いつくようなフィット感があります。私の発想を自由にし、デザインの面白さを追求するスタートになった指輪です。

2.10本の指それぞれでつけ根の傾斜の角度が違うことに着目したきっかけは?

私は、ジュエリーデザイナーになって間もない頃から、どうしても納得がいかないことがありました。それは、美しいフォルムを追求し、やっと完成した指輪を、薬指につけると指輪が水平に安定せずに斜めに傾いてしまうことでした。物としての美しさの追求と身につける美しさの追求の間にギャップがあることに気づいたのです。その後、デザインや加工のキャリヤを重ね、また、“輪っか”じゃない指輪がきっかけにもなり、そのギャップを埋めるためにも、「そうだ!10本の指の特徴にあった指輪をつくろう!」「その指に対して最高の美を追求しよう」と決めました。“手のひらをみてください。”指のつけ根の傾斜が指ごとに違います。このことに着目したことから新しいクリエイションが始まりました。手に添っている指輪をつけると、安定感と握りやすさだけでなく、指だけでなく手全体がすっきりと長くなったように見えてくるのです。一方でマイナス面もあります。例えば、気に入ったデザインが見つかり、本当は左の小指につけたいと思っているのに、気に入ったものが右の小指用に開発された指輪だったりすると真逆の傾斜で作られているので安定感やすっきり効果も弱くなります。それでも「着眼点が面白い!」「つけ心地がいい!」「指がきれいに見える!」と言ってくださる方が増えてきて、このクリエイションを続けてゆく自信をもつことができました。

3.耳の形に添うイヤリングをデザインするために、こだわっている点は何ですか?

指輪に比べてイヤリングは、「痛くなったり、落としやすいからもったいない」とアクセサリーで代用される方もいらっしゃいます。お顔の近くで一番目立つ所ですので、私は、残念に思っていました。このことについて考えるうちに気づいたのは、人によって耳の形が違うということです。「どの位、人によって違うのだろう」と仕事やプライベートで沢山の人たちに出会う度に、耳を撮影させてもらい資料にしました。そして、大きく分けて、ふっくら耳の方とすっきり耳の方がいることがわかりました。例えば、ふっくら耳の方には、丸みのある耳たぶを気持ちよく包むような見映えのあるデザインを、すっきり耳の方には、切れあがった耳たぶをしっかり包むようなさりげないデザインなど、お耳の形によってデザインをするようにしました。イヤリング金具もデザインの一部として、ふっくら耳さん用とすっきり耳さん用と開発し、使い心地や耳当たりの良さを追求しています。ピアスにおいてもイヤリングのように、ダイヤモンドが耳の形に添ってこぼれおちるようなデザインをしていますが、左右のピアスホール位置が違う方もいらっしゃいますので、場合によっては、耳を採寸させて頂きオーダーメイドで加工することもあります。形だけでなく、厚みの違いや癖や年齢なども人によって様々です。耳の形に添うイヤリングは、お顔の印象を明るくし、フェイスラインもすっきり見せてくれるので、特に気持ちを入れて開発しています。

4.顔まわりの空間までもデザインするとは、どんなことでしょうか?

これまで、ジュエリーが体に添うことの効果をご説明してきましたが、さらにジュエリーには、身につけるだけで気持ちが高揚する効果がなければいけません。考え方を、耳につけるではなく、お顔のまわりの空間までもデザインするものとして、心とジュエリーの一体感を表現したいと思いました。お顔に近いイヤリングは自分自身になります。動きのあるシャープなデザインは、前向きな生き生きした気分にさせてくれます。このイヤリングでは、耳たぶの裏側の広い空間を利用しデザインに奥行きを与えました。その空間から前に向かうラインと耳たぶから後ろに向かう長いラインとが、まるで耳を囲むように動き輝きます。どこから見られても美しいダイヤモンドラインは、頷いたり振り向いたりという、見につける方のさりげない表情と共鳴し合い、素敵に見られている、という自信が生まれてきます。

5.TOMOKO KODERAのクリエイションが生みだす“流れ”とは?

身体を一枚の絵だとします。そこに置かれるジュエリーは、全体を構成する必然でなければ、まとまりのない悪戯書きのようになってしまいます。TOMOKO KODERAのジュエリーは、たとえば、小指と中指に指輪をつけて、そしてバングルもつけると、華美になるどころか、当たり前のように調和します。なぜなら、体のラインに添って作られているからです。まるで、目に見えない風が指先を吹き抜けてゆくかのように感じられると思います。さらに、イヤリングをつけると、耳元から肩、腕、指先へと風が身体に添って吹き抜けていくかのようです。もし、以前に購入したものがありましたら新作を合わせてみたり、2つ3つとつけ足し組み合わせてみてください。きっと、自分だけの流れを発見し、驚きと喜びを感じて頂けるはずです。

小寺智子

京都芸術短期大学日本画科卒。
その後、テキスタイルデザイナーになるが、
ピアスをあけたことをきっかけに
ジュエリーデザイナーを目指す。
1990年ヒコ・みづのジュエリーカレッジを
卒業、(株)柏圭入社。
1996年よりTOMOKO KODERA
コレクションをスタート。
プラチナデザインオブザイヤー1996プロダクト賞、
JJAジュエリーデザインアワード2004グランプリ、
2005年には、
JJAジュエリーデザインアワードにて
日本ジュエリー協会会長賞と
プラチナギルドインターナショナル賞を受賞。

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